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これからの小売の目指すべき方向性 ‐DXとCIの相乗効果‐

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トップページナレッジこれからの小売の目指すべき方向性 ‐DXとCIの相乗効果‐

DATE
2021年10月25日

GBJアドバイザリーボードメンバー 原田

■ DXCIポジショニング

いうまでもなくDXはデジタルトランスフォーメーション、CIはコーポレートアイデンティティのことです。DXはその効果が「可視化でき」「即効性があり」「日進月歩」である一方で、CIは「可視化が難しく」「即効性がなく」「一歩一歩」であるといえます。

このように2つの活動は対極にありますが、それぞれの役割を理解し実践すれば、相乗効果を発揮し企業を飛躍的に発展させることができます。この2つの構成要素を人間の体に例えると、DXは「フィジカル」、CIは「メンタル」といえるのではないでしょうか。企業体にとってはなくてはならないコンテンツといえます。

DXについて

1. 小売業界におけるDXの考え方
小売業におけるDXのポジショニングは2つの視点で整理できます。ひとつは「時間軸」、もうひとつは「顧客動線」です。時間軸に関しては、「サービス前」「サービス中」「サービス後」の3つのフェイズで分類できます。顧客動線の場合には、来店⇒接客⇒購入⇒受取/配送⇒顧客満足⇒商品開発というサイクルとなります。

2. 小売業界におけるDXの事例
ここでは「時間軸」をベースに小売業におけるDXの事例を考察していきたいと思います。サービス前は「知る」「関心を抱く」「準備する」という行動パターンに対し、VRを活用したプレイベント、AIを駆使した天候などの必要情報の提供が想起されます。サービス中は「実際に来訪する」「体験・消費する」「その後帰宅する」という行動パターンに対し、ストレスフリーなサービス、体験拡張、情報付加、レコメンドなどの機能が効果を発揮します。サービス後に関しては、「体験を振り返る」「他社と比較する」「また行きたいと思う」という活動に、映像の自動編集、デジタルカスタマーセンターなどのオンラインコミュニティ、ECオンラインサービスというデジタル化が対応します。

3.セブン&アイグループ DXの現状
セブン&アイグループ、とりわけセブン-イレブン・ジャパンが推進しているDX活動に「セブンセントラル」というものがあります。いうまでもなくDXの最も重要な構成要素はデータです。現在セブン-イレブン・ジャパンには3つのデータが存在しています。それは、「本部データ」「店舗データ」「外部データ」です。これらをクラウドデータ基盤に集め、自由に取り出し、最新状況をリアルタイムに把握できるようにするというのが「セブンセントラル」の目指すところです。

このシステムを活用することにより、廃棄ロスの低減、品揃え計画、商品開発、店舗集客はもちろんのこと、店舗をメディア化した新たな収入源としての「広告事業の立上げ」も視野に入ってきます。

4.DXの総括(私見)
DXがもたらすビジネスにおける産物は、企業の宝となることは疑う余地はありません。しかしながらDXですべての課題を解決することができるのでしょうか。

例えば、来年の春夏ファッショントレンドをDXは予測することはできるのでしょうか。東京ドームで開催されるライブやイベントの感動、一体感、共感を醸成することがDXにできるのでしょうか。さらには「この会社は信頼できるので、その会社(ブランド)の商品をつい買ってしまう。」という衝動を醸成することはできるでしょうか。そこには可視化できないメンタル面へのアプローチも重要となり、CIの領域、役割ともいえるのではないでしょうか。

■ CIについて

1.CIとは
CI活動とは共通の価値観を定着させることです。その構成要素は、下図の通り「組織」「人」「商品」「シンボル」です。

 

CI活動の中でありがちなミスは、CI=「シンボル」という考えに固執し、ロゴを刷新しそれをメディアにのせるという行為を目的化することです。ロゴは変わっても、組織や人、さらには顧客接点となる商品(サービス)が刷新されなければ、企業価値の向上にはつながりません

2.セブン&アイグループにおけるCI活動
CIを明確にするためには、下図の通り「MI」「BI」「VI」の3要素を明確にすることが重要となります。

 

そのために、私がCI室長の時代に実行したことは以下2点となります。

先ず、精緻なロゴマニュアルを作成しました。それまでにセブン&アイホールディングスには明確なロゴマニュアルは存在していませんでした。そして、完成したロゴマニュアルと「MI」「BI」「VI」の考え方を定着させるため、セブンイレブンジャパン、イトーヨーカドー、セブンフードシステムズ(デニーズなど)、ヨークベニマルなどのグループ会社約20社をラウンドし、マーケティングの責任者やスタッフに対して説明会を実施しました。

同時に各社のTOPにCI活動の必要性について説明を行いました。結果、実際のCI活動は、非常にアナログなものとなりました。

もうひとつ行ったことは、セブン&アイ・ホールディングスという企業名の認知拡大です。

これは当時のTOPの指示でもありました。その頃、セブン-イレブン・ジャパン、イトーヨーカドーをはじめグループ各社では、20以上のテレビCMをオンエアしていました。そこにはセブン&アイ・ホールディングスグループという統一感はありませんでした。

そこで、CMの冒頭に「♪セブン&アイ・ホールディングス」というサウンドロゴと「新しい今日がある。」というタグラインを表記しました。サウンドロゴは一定の効果があったと確信していますが、「新しい今日がある。」というタグラインは社内外に浸透させることができず、いまだに「やり残した感」があります。

■ DX×CI=デジタルマーケティング

2004年に登場したと言われる「DX」はこれまでになかったワードであり概念だったのでしょうか。その前から「デジタルシフト」というワードがありました。マーケティング要素も加味した「デジタルマーケティング」という考え方もありました。

しかしながら、現在のトレンドワードは「DX」です。このことは、「DX」がCI(ブランディング)活動において最大の効果を発揮したという、分かりやすい事例なのかも知れません。